振り返れば2011年には、今までにないくらい多くの国際モーターショーヘと出掛けた。1月の デトロイトを皮切りに、3月のジュネーヴ、4月の上海、9月のフランクフルト、11月のロサンゼル ス、そして12月の東京と、実に6ケ所も取材できたのだ。時間その他の条件が許すならば、4月のニューヨーク、6月のドバイや広州も行ってみたかったが、さすがにそれは叶わなかった。しかし、い ずれも遠くないうちに訪れてみたいと考えている。  そこでの主たる仕事は、出展される新しいクルマやテクノロジーに触れ、メーカーのトップや開発 陣への取材を行なうことである。しかし気持ちの上では、常にある意識を胸に世界のショーに赴いて いるつもりだ。常に考えているのは他でもない。世界の中で存在感が埋没しつつある東京モーターシ ョーを、今後どのように盛り上げていくかということ。勝手ながら、そんな意識で臨んでいるのだ。  中国はじめ新興市場のモーターショーの現在の盛り上がりは凄まじい。しかし日本としては、そこ を羨ましかっていても仕方がない。今は「クルマ離れ」が進んでいる日本。新興国と同じことをやっ ても人は戻ってこないだろう。  実は、その傾向は日本だけではなく、先進国すべてにおいてじわじわと顕在化し始めている。その 中で、もっとも早く「クルマ離れ」が顕在化した我ら日本の為すべきは、もっとも早くその解決の糸 口を見つけることだ。新しいかたちのモーターショーづくりも、まさにそこに繋がってくる話だろう。現在はピンチだが、しかし大きなチャンスにもなり得るはず。簡単ではないのは当然だが、もし東京 が未来の先進国のモーターショーの新しいモデルになれれば、新しい活路が開けるに違いない。  当座の話として、規模を競うという考え方はそろそろ捨てるべきだ。日本の自動車市場はますます 縮小している。多少盛り返すことができたとしても、上海や北京を凌駕することは、もはやない。  そうではなく東京でなければ得られないものを、いかに提供できるかということ。それこそが再生 の道である。たとえばジュネーヴモーターショー。スイスは自国に自動車産業がない。しかしながら 高所得者が多く購買意欲が高いという部分を特徴として打ち出すことで、世界のプレミアムブランド が外すことのできないショーになっている。またロサンゼルスも、同じアメリカのデトロイトやニュ ーヨークに較べると以前はワンランク落ちる感じがあったが、「グリーンーカー・オブーザーイヤ ー」の開催など独白のプログラムによって、今や多くの注目を集めるショーになっている。  では一体、東京は何を打ち出すべきか。日本の特色をアピールするという意味では、ITSや情報 通信、エネルギー、環境技術といった次世代の自動車社会を創り出す新しいテクノロジーはポテンシ ャルを持っている。実は今回も「SMARTMOBILITYCTITY2011」と題された各種 デモンストレーションやシンポジウム、セミナーなどが行なわれていた。これが「東京に行かなけれ ば未来の自動車の姿は見えない」というレベルにまで発展すれば、アピールカは大きいに違いない。  それはあくまで一例だが、とにかく今後の日本のモーターショーは、そのような確固たる方向性を 目指していくべきではないかというのが私の考えである。まだ今なら、東京には、あるいは日本には、それを可能とするポテンシャルがあるはずだ。

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